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悟無好悪

悟無好悪(さとればこうおなし)。日々社会の中で生きていくのは大変です。「嫌だな」「心配だな」「不安だな」という感情は必ず毎日生じていると思います。

しかし、皆様はこのような経験をされた事はありませんか?

・何か嫌だなと思っていた人が実は話をしてみたら気が合ってその後とても仲よくなった。

・自分に子供ができたら親の気持ちが良くわかるようになった。

・不安だったことが、いざやってみるとそこまで恐れる必要はなかった。

 

これらに共通していることはその対象となるもの(気が合うようになった友人、親、不安だったこと、など)は前と後で変わっていないということ。

では、何が変わったかといえば答えはずばり「あなたの心」です。

ホームページにも記しているように、人間の悩みとは根本的には主観的なものだと思います。

好きか嫌いか、得意か苦手かは結局は自分が決めることになります。

何か心揺さぶられる出来事があった時に、それこそ森田療法が説くように「あるがままに」余計な主観を入れることなく受け止めることができたなら。

 

実際は全く揺れないことなんて難しいですしむしろ人間らしくないと思いますが、

起こってもいないことを過剰に不安に感じたり、すぐに好き嫌いの判断をしてしまうことで損をしてしまう方の相談を受けると、

このような考え方を紹介させていただくことがあります。

 

                    じんぼこころのクリニック 院長  神保 慎

 

2019年04月15日
手話と脳トレ? 今こそ脳の活性化を

アルツハイマー型認知症の早期から見られる症状として「視空間認知(目から入った情報のうち、ものの位置や向きを認識する能力)」や「ボディイメージ」の障害といったものがあります。

それと関連して忙しい外来診療の中で無理なく、そして患者さんの負担も少なく実施できる検査として【キツネ・ハト 模倣テスト】といったものがあります。

一見簡単そうに見えるこの模倣テストですが、軽度認知症では8割、MCI(軽度認知機能障害)でも5割の方が間違えてしまうと言われています。

アルツハイマー型認知症による頭頂葉機能の障害をわずか数分のテストで反映できてしまうのです。

さて、じんぼこころのクリニックでも毎日たくさんの方から「物忘れ」「認知症」のご相談をお受けしています。

もちろん的確な検査と診断、治療が大切であることは言うまでもありませんが、多くの方から共通してお受けする質問が

「じゃぁ予防するにはどうすればいいか?」といったことです。これには学会で発表される認知症の研究だけでなくテレビやネットなど様々な情報があります。お魚がいいとか、

良く笑うことが大切だとか、コーヒーは一日何杯がいいとか。。

もちろん色々なことが有益だと思いますし、私も日々心がけるようにはしています。

そしてもう一つ、私がここで強調したいのが「情報のアウトプット」の大切さ、です。

私たちは便利な情報化社会の中でいつでもどこでも大量の情報を瞬時に手に入れることができます。

しかし、その「インプット」した情報を「アウトプット」することはどのくらいあるでしょうか。

例えば読んだ本の感想をノートにまとめてみたり、一日の出来事を日記に記してみたり。。。

多くの方が私同様、ぼーっとテレビを眺めたり、スマホのヤフーニュース等で苦労することなく流れてくる情報にただ浸かっているだけではないでしょうか。

アウトプットする時、脳は受けた刺激に対して知識や記憶を総動員して、取るべき対処法について熟慮、判断、決断し、それをどのように表現するかを検討します。

放っておいてもできるインプットに対してアウトプットは自発性がなければ行われません。一見簡単に思える自発的な文章や記憶のまとめといった作業が、実は脳にはものすごい刺激となり脳細胞

の活性化となっているのです。

 

「でも、今までも日記も読書も続いたことがなーい!」

そんな皆様にぜひお勧めしたい脳活性化法が簡単な手話の習得です。

先にお話しましたように認知症の方は早期から「視空間認知」「ボディイメージ」といったものが障害されてきます。

まずは相手の手話を理解するためには視空間認知能力が不可欠です。そして、習得していく過程で自身がイメージしている手話と自身の手先の表現が一致していなければ会話になりません。

相手の手話を見る⇒左右前後逆にして視点を入れ替えそれを真似る⇒自分の手話が第3者的視点からどのように見えているかをイメージする。

考えただけでもかなり頭を使うと思いませんか?

 

そもそも手先を動かすことは頭にとって有効であることは昔から言われています。

ペンフィールドの地図というものをご存じでしょうか。

脳のかなりの部分が手や指に関係していることがわかります。

脳の活性化につながるであろうことに異論はないと思います。

じんぼこころのクリニックの認知症外来では、適切な診断、治療だけでなく、「脳トレ」のための簡単な手話の宿題をお出ししています。

次の診察時に手話で「こんにちわ」や「お願いします」と挨拶してくださる方もいらっしゃいます。

病院は少し苦手だなぁといった方にも手話を通じて楽しんで参加していただけることで、本来の治療にも良い影響が出るのではないかと考えています。

一緒に楽しみながら手話を練習してみませんか?

 

                       じんぼこころのクリニック 院長  神保 慎

 

 

 

 

 

 

2019年04月09日
ランニングとこころ

欲にとらわれず、何事にも執着せず、一点の曇りもない状態。それが「無」の状態だと思います。

ランニングをしていると走りはじめは気になる仕事の事や、煩わしい人間関係の事など、ごちゃごちゃとした事が頭の大半を占めています。

しかし、5分、10分と時間が経つにつれ、いつの間にかそれらはどこかへと消え、風の音、鳥や虫の鳴き声、自分の走る足音や呼吸音などに意識が研ぎ澄まされていくことを実感します。

そしてまた走り終わると日常の悩みが押し寄せてくる。。

スポーツとこころの健康について、様々な神経伝達物質との関連を示唆した研究も最近増えてきています。

確かに興味深いことですし、今後も新たな発見が出てくることでしょう。

しかし、それ以上に、、、わずか数分~数十分の時間かもしれませんが、このように日常の中で少しでも「無」になれる時間があること。一瞬でも悩みを忘れられること。それがこころの健康にとってとてつもなく大切なのだと思います。多くの悩める現代人がランニングに今はまっている一つの要因なのかもしれません。

 

脳は何かを考えるだけでも大量のエネルギーを使用すると言われています。フルマラソンに出場された経験がある方はわかるかもしれませんが、好記録が出た時ほど何も考えずに「無」になって42.195kmを駆け抜けたのではないでしょうか。「どこどこが痛い」「あまり練習できてなかった」「キロ何分で走らなきゃ記録達成はできない、あぁもうダメだ。。」とごちゃごちゃ考えてしまっている時は走るために必要なエネルギーを脳が消費してしまっているのかもしれませんね。

 

「無」になること。その手段は、ある人にとっては音楽であったり、読書であったり、映画鑑賞であるのかもしれません。ただ、シューズさえあれば旅行や出張でも日本中、世界中どこででも「無」になることができるランニングは最高のこころの癒やし、やすらぎなのではないでしょうか。私も少しずつ再開しています。

 

                     じんぼこころのクリニック  院長    神保 慎

 

 

2019年04月08日
内装

開院まで残りわずかです。少しでも落ちついて、心地良く過ごしていただけるような空間を目指して行きます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

   院長 神保 慎

2019年03月17日
はじめまして、自己紹介

はじめまして、じんぼこころのクリニック、院長の神保慎と申します。

まずは自己紹介をさせていただきます。

サラリーマンの父(裕)、専業主婦の母(秀子)のもとに第2子、次男として産まれます。3つ年下の妹もいます。

出身は神奈川県藤沢市ですが、父の仕事の転勤に伴い小学校6年間はアメリカで過ごしそこでも確か5,6回ほど引っ越しをしています(ニューヨーク、バージニア、カリフォルニアなど)。

転校の度に子供達の環境が変わることに親は多少の心配はあったようですが、そこは子供の見事な柔軟性もあって、いつの間にかすっかりと馴染んでいたようです。きっと本人達にはそれなりの苦労もあったはずですが、今となってみれば当時の思い出はどれも楽しいものばかりです。この頃の貴重な体験は自分の人格形成にとっても大きな財産となっているはずです。その後の進路でも海外志向や留学への憧れが強かったことも、「子供達に同じような貴重な経験をして欲しい」という思いがどこかにあったように思います。子供達の姿を見て、両親はずっとアメリカに残ることを希望していたようですが、6年後には仕事の関係もあり帰国することとなります。帰国後は「アメリカでのびのびと育てたため都会の受験勉強についていけるか心配」といった理由から、母のふるさとである香川県に住むことに。ここでは親の期待に存分と応えるように(笑)のびのびと、多少やんちゃに(?)部活のバスケットボールに夢中な日々を過ごすことになります。毎日のように部活帰りに友人と食べたさぬきうどんの味は忘れられません。中学、高校の多感な時期を過ごした讃岐の地や当時の仲間には特別な思い入れがあります。その後はホームページにも記しましたように紆余曲折あり東京外国語大学を中退し、医学部を目指すことに。兄が先に住んでいたこともあり長崎大学へ進学することとなりました。このように神奈川6年、アメリカ6年、香川6年、長崎6年と異なる環境で様々な経験をし、今年で13年目となる福岡でもまた、日々悩みながら精一杯生きて、成長させてもらっているように思います。

仏教用語で「無常」という言葉があります。ややマイナスに捉えられることも多いように思いますが、「日々移り変わること」「世の中でただ一つとして変わらないものはないこと」「昨日の自分、今朝の自分、一分前の自分と今の自分は違うこと」「全ての瞬間において成長していること」という意味に私は捉えています。良く聞く「精神科医にとってはどのような経験も無駄にはならない」といった言葉と共通するところがあるのではないでしょうか。どんな失敗でも挫折でも(もちろん成功も!)患者さんの訴えを少しでも理解、共感するためには貴重な経験であり、昨日までの自分を成長させてくれる財産だと思います。

 

私の人生や精神科医としての経験がこれからの地域医療のために少しでもお役に立てれば幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

                                                        じんぼこころのクリニック 院長  神保 慎

 

2019年03月13日