本のご紹介18~感想編~強迫症を治す〜

 

WHOにより

「QOLが低下する十大疾病の一つ」

に数えられたこともある強迫性障害。

自らも強迫性障害に罹患し、そして治療

に成功した精神科医、松永寿人が、

主治医である亀井士郎とともに書き上げた良本。 

強迫性障害に苦しむ人だけでなく、

強迫症と精神病理が共通する疾患

(不安障害、パニック障害、etc.)に悩む

すべての人に一度は読んでほしい。

 

それは何よりも、この病気には

知識と、それに基づく正しい行動選択

が強力な武器になる」から。

 

まず本では「不安」について

「ヒト以外の動物も持つ、生存に欠かすこと

のできない原始機構」であると、認めています。

そしてその「原始的で落ち着かない感じ」が、

その「解消のための行動を促す性質を持つ」

とも。

 

しかし、強迫症では

「不安になると行動する」だったのが→

「行動しないと不安になる」→

「行動をしなければ安全ではない」

と認知が歪んでいくのです。

 

そして「不適切な行動ー不安に従った行動」

をとることで強迫症状が悪化していくことから、

強迫行為を強迫症にとっての「ガソリン」と

例えています。

 

なら、どうすればいいのか。松永が実体験を

もとに「適切な行動ー不安に従わない行動」

をとることで、強迫症が改善していく様子を

時系列で記しています。

 

これこそが「認知行動療法です。簡単に言えば、

不安に耐えつつ強拍行為を我慢し、

正しい行動を選ぶ」ことです。

 

「適切な行動ー不安に従わない行動ーをとれば逆に

症状は改善するということです」

 

もちろん服薬の重要性についてもきちんと

記してあります。

 

不安の「炎」に圧倒されている中、

認知行動療法だけで治療をすることは

非常に難しく、適切な服薬により不安の「炎」を

極力小さくした状態でCBTを実施していくこと

が大切とも。

 

そして、必ず治療戦略を立て、無理をせず、

「CBTで勝ち癖をつける」こと。

 

休養の是非については、このように記してありました

不安に「時間・空間・エネルギーを与えるな」と。

 

つまりはこうです。

 

仕事等で自身のエネルギーが低下していては、

戦えない。不安にエネルギーを与えないためにも、

適切に休養をとり、自身のエネルギーを

回復させる必要がある。

 

しかし、ある程度エネルギーが回復してきたら、

外に出る、趣味の時間を持つなど有意義で

建設的な時間を過ごさなければならない。

なぜなら、自宅に引きこもることで

不安に「空間」を、そして考える「時間」を

与えてしまうからです。

 

そして、章ごとに、何度もこのように記しています。

 

回避せず、周囲を巻き込まず、余計な

検索をせず主治医を信じること。

つまりは

「逃げない・繰り返さない・巻き込まない・

ググらない」と。

 

 

 

 

 

 

2022年02月05日