先日、笠原先生のご講演を拝聴した。
その中で、”病後の生活史を作るお手伝いをする”
という言葉が非常に印象に残った。
私なりに解釈してみた。
病気を「治す」とはどういうことなのか。
もちろん、完全に症状が「無くなる」
ことが理想ではあるが。
現実では、患者さんがその症状を抱えながら
上手に生活して行かざるを得ないことも多い。
症状を「無くす」ことに医師も患者も一生懸命
になるあまり、”病後の生活史”に目を向ける
ことを忘れていないか。
病気を受け入れた上で、
これからの生活に目を向け、共に考え、
充実させていく。そうすることによって、
生活の中に占める「病気」の割合が少しずつ
小さくなり、「今」がだんだんと「病後」
になっていく。
そんな治療を意識することも大切なのかなと考えた。
九大病院、精神科医1年目の時、患者さんを「治そう」
とするあまり、「先生は万能感が強すぎる」
と指導されたことを思い出した。