本のご紹介15

 

多くの精神科の先生方がその診断や治療に悩む

疾患の一つが双極症(双極性障害)です。

 

明らかな躁エピソードを認めれば診断は

比較的つけやすいと思いますが、

「うつ状態」だけども抗うつ薬への反応が

すこぶる良いケースや、調子が良いと思ったら

急激なうつ転を見せるケース(急にどん底になる)

はどのように考えるべきでしょうか。

 

そもそもⅠ型とⅡ型は全く別の病気と

考えるべきなのでしょうか?

だとするならばⅡ型はうつ病〜Ⅱ型と

スペクトラムなのでしょうか?

 

私は双極症の本質は気分の「揺れやすさ」

だと考え、常に診療にあたるようにしています。

 

また、適切な抗うつ治療を十分期間試みたにも

関わらず、改善を認めない「うつ」は鑑別として

双極症は考えなければなりません。

 

さらには、難治の双極症による衝動性や過活動性と

考えていた症状が、実はADHDによる

多動や不注意、衝動性を見ていた、ということも

あります。

 

このように、常に診断や治療に迷う疾患について

あらためて考えさせられる良本でした。

 

「調子がいい時はすごく元気」なため、

周囲家族や友人から「怠け」「甘え」

「気持ちの問題」と言われてしまい、理解されない

ことも多いと、患者さんから実際に良く聞きます。

 

「自分の立場や考え」からの発言が

治療に取り返しのつかない影響を

与えることもあります。患者さんだけでなく、

周囲ご家族、支援者、にもぜひ読んで

いただきたいです。

 

「生活リズムの安定は双極症の人にとって

基本中の基本です」

 

「脳科学的には意欲が出る→行動する、では

なく、行動する→意欲が出るという順番

だと言われています」

 

「躁症状とADHDには、イライラ感、

怒りっぽさ、よくしゃべる、過活動、

注意散漫など、多くの共通する特徴があります」

 

 

2021年12月29日