アルツハイマー型認知症とうつ病の神経心理学的所見について

慶応三村先生のご講演より。

患者さんにも役立つ知識としてメモしておきたい。

 

認知症(特にアルツハイマー型)と、

老年期うつ病はしばしば鑑別が必要だ。 

いわゆる「pseudo dementia」(仮性認知症)

として知られている。

 

両者とも同じように「記憶力」が落ちる

わけだが、その鑑別の要点として

 

・認知症では記憶痕跡そのものが失われている。

・うつ病では記憶痕跡は残ってる。

それを取り出すことができない。

「思い出し方の忘却」とも言われる。

 

また、記憶力検査の質問に対しても

・認知症では、言い訳をしたり、

はぐらかしたりする。 自己予測>検査成績

 

・うつ病では、こんなこともできないと、嘆く。  

検査成績>自己予測

 

そして、よく検査される視覚構成機能に関しては、

うつ病で障害されることはほとんどない。

 

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認知症の患者さんを診察しているときに 

どこかボーッとしていたり、表情が乏しいと

感じることが多い。記憶力の低下だけではなく、

注意力(強度や選択性)の低下も顕著となる

ことを意識しておきたい。

 

また、ワーキングメモリー

(記憶を一時的に保持しておく能力)

について、「こころの黒板」という

例えがわかりやすかった。

 

2022年01月16日